第4回
国勢調査で何がわかるのか

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人口減少時代を迎え、日本経済のかたちは大きく変化しようとしています。その意味で、国勢調査の統計データは単に国の施策だけに使用されるわけではありません。民間企業でも国勢調査のデータは大いに活用されています。なぜならば、国勢調査には、日本というマーケットを分析するためのヒントがたくさんつまっているからです。今回は、国勢調査から何がわかるのか。具体的な数字を見ながら検証していきましょう。

人口減少社会の到来

国勢調査は、日本に住んでいるすべての人および世帯を対象とする国の最も重要な統計調査で、日本国内の人口や世帯の実態を明らかにすることを目的に行われます。その結果、はっきりと見えてくるのが、日本という国の情勢です。

では、その一番の基本となる日本の人口はどうなっているのでしょうか。前回の2010年に行われた国勢調査では、日本の人口は、1億2805万7352人でした。第1回調査での人口は5596万3053人。第2次世界大戦後も増加を続けていましたが、高度成長期を経て、1975年以降、伸び率はゆるやかになっていきます。

前回の調査では、5年間の人口増減率は0.2%と調査開始以来最低となりました。そして、今回の2015年の調査では、日本の人口が初めて減少に転じると言われています。

なかでも、特に注目されるのが、65歳以上の人口です。2010年の調査では、2925万人と全体の2割を超え、同時に増加傾向にあります。それ以外の年齢層は減少傾向にあり、日本は明確に少子高齢化しているということが見てとれるのです。欧米の先進国と比較しても、少子高齢化のスピードは際立っており、それが今後日本の将来にどのような影響を与えるのか、現在、さまざまな議論がなされています。

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日本の人口は世界第何位?

次に世界と日本を比べてみましょう。2010年の世界の人口は69億1600万人、そのうち、日本は1億2800万人で1.9%を占めています。では、世界の中で日本の人口は何位になるのか、皆さんはご存じでしょうか。

正解は10位です。1位は、中国で13億6000万人。2位がインドで12億600万人、3位はアメリカで3億1200万人、日本の一つ上の順位の9位はロシアで1億4400万人です。実は先進国の代名詞であるイギリス、フランス、ドイツなどのEU諸国は、意外にも1億人以下の人口なのです。

日本がこれまで経済成長を続けてこられたのは、小さな島国であるにもかかわらず、世界有数の人口を擁していたことが、大きな要因となっていました。つまり、一国の経済の繁栄は、人口の数が大きく影響すると言えるのです。

そのため、エコノミストたちがある国の経済予測をする場合、その国の人口データがすべての予測の基本となっています。その意味で、人口の多い、中国、インド、アメリカは今後も経済成長が続くと言われています。

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