退去直前の賃貸更新料、値切る方法はある? 不動産問題に詳しい弁護士が解説!

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「アパートではこのように決められているケースが多いです。賃貸住宅に住んでいる人は、契約書を読み返してみるといいでしょう。また、家主の人は、賃貸借契約書に更新料条項を具体的・一義的に盛り込むようにしましょう」

では、今回のケースのように、更新後に短期間で引っ越すことがわかっている場合も、全額支払いの義務があるのだろうか。

全額支払いの義務は?

「さきほど説明したように、『一義的かつ具体的』な更新料の条項が契約書にあれば、原則として支払いを断ることや、返還を求めることはできません。

不動産賃貸借の実務の現場では、『更新料はあくまでも更新することについての手数料だから、減額も月割りもできない』と考えている不動産会社が多いようです。

このような不動産会社の考え方だと、借りている人が更新後1日でも住んでいれば、更新料を満額請求されることになりそうです。でも、それではあまりにも杓子定規で、借りている人に酷な対応です。今回のように、2カ月しか住まないことが分かっている場合も、更新料を全額支払わなければならないというのは、問題があるでしょう」

その場合、どう交渉すればいいのだろうか。

「冒頭で説明したように、更新料は『賃料の補充ないし前払い』の性質があります。ですから、契約期間が2年だとすれば、更新後に住む2カ月分だけを『賃料の前払い』として支払い、残りの22か月分を減額するように要求してみても良いかもしれません。

実際に裁判になった場合、裁判所が認めるかどうかは分かりませんので、専門家に相談するなどして、適切に対処することが肝要です」

瀬戸弁護士はこのように述べていた。

瀬戸 仲男(せと・なかお)弁護士
アルティ法律事務所代表弁護士。大学卒業後、不動産会社営業勤務。弁護士に転身後、不動産・建築その他様々な案件に精力的に取り組む。我が日本国の伝統・文化をこよなく愛する下町生まれの江戸っ子。
事務所名:アルティ法律事務所

 

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