【産業天気図・業種別業績予想集計】「会社四季報」2012年1集--来13年3月期営業利益は19%増益に

拡大
縮小

「会社四季報」2012年1集(12月12日発売)のデータを基にした独自集計によると、今2012年3月期の予想営業利益は、前期比12.8%減となる見通しだ。前11年3月期の実績である同47.7%増から大幅に悪化する。上期業績に大きな影響を与えた東日本大震災が響くうえ、欧州の債務問題から発展した世界経済の減速、タイ洪水影響も大きかった。来13年3月期は同19%増と増益を回復するが、伸び率は決して高いとはいえない。

業種別にみると銀行・保険を除く31業種中、14業種が前期比で営業減益・赤字となる。赤字が見込まれるのは海運と電気・ガス。また、減益幅のワーストはその他製品(39.7%減)。続いて、鉄鋼(29.5%減)、輸送用機器(27%減)、電気機器(20.2%減)の順で減益幅が大きい。

電気・ガスは業界18社で総額3913億円の赤字に転落。福島第1原子力発電所の事故の影響で全国の原発も相次いで稼働を停止しており、再稼働も難しい状態が続く。電力各社は多くで来期も赤字が見込まれている。また、海運は12社合計で394億円の赤字。世界各国で天災に見舞われ、輸送台数が激減。市況悪化が激しかった。
 
 営業増益となる16業種中、増益幅が大きいのは、その他金融(約16倍)、卸売業(15.5%増)、小売業(13.2%増)。また、証券は黒字転換が見込まれている。業種数だけでみると増益組が若干多いが、国内産業を支える輸送用機器(自動車)や電気機器が大幅減益となるなど、産業界全体では減益となる見通しだ。

一方、来期を業種別にみると、営業減益・赤字となるのは4業種に減る。減益幅はワーストから順に石油・石炭製品(11.6%減)、卸売業(1.2%減)、鉱業(0.8%減)。電気・ガスは連続赤字。増益業種のうち、増益幅トップは最悪期を脱する証券(692%増)。挽回生産の輸送用機器(62.6%増)、大型合併が予定される鉄鋼(51.6%増)などが続き、海運は黒字転換が見込まれる。

■次ページに業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT