研究開発を最重視した中国空調大手の「格力」、エアコン生産首位への20年

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また、格力の空調機を解剖、消費者に部品を全部見せることで、消費者からカネをむしる「下心」がないことを強調した。東南アジアからコンプレッサーを輸入して安売りする空調機メーカーは一敗地にまみれた。

また、空前の自動車ブーム、不動産ブーム、ITブームが中国に到来すると、同業他社はわれ先に便乗した。だが格力は、本業は空調機だといって方針を変えなかった。結局、便乗メーカーは失敗し、空調機の天下は完全に格力の手に握られた。

海外進出へ注力 100超の国に輸出

品質にこだわる格力に注目する外国企業も現れた。93年に松下電器産業(現パナソニック)、大金(ダイキン工業)などが、OEM生産を打診してきた。格力が生産したOEM空調機は、家電王国の日本にまで輸出されることになった。

その頃、格力は自社ブランドで海外市場に進出するか迷っていた。98年、董総裁は時間を割いて外国を歴訪。帰国後、朱江洪会長にブラジルなら勝算ありとの報告書を提出する。その2年後に、ブラジルに3000万ドルを投資し、年間20万台の空調機を生産する格力電器(ブラジル)有限公司を設立した。

それ以降、格力はブラジルの24州に200以上の代理店網を作り、1000人以上の販売要員をそろえた。今では「ブラジルでグリーを知らない人はいない」と、格力の販売要員は自慢げに語る。

ブラジルでの成功をきっかけに、格力は世界進出のテンポを速めた。現在では100以上の国に輸出している。ブラジル以外には、ベトナムやパキスタン、米国などにも生産拠点を設けた。

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