日本株、ドル安原油高なら最悪のシナリオに 日経平均は節目の1万8500円を回復できず

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いったん、中期的なトレンドラインを割り込んでしまうと、株価の回復には最低でも半年は必要である。過去のコラムでも指摘したが、海外の主要株価指数はすでに上昇基調が崩れている。また上海株式市場との連動性を気にする向きも少なくないが、もうそのようなことを言っている場合ではない。市場はきわめて重要な局面に来ていると筆者は考える。

今後注目すべきポイントは、日経平均で言えば、8月26日のザラ場安値の1万7714円を維持できるかどうかだ。

8月26日安値を割れば一気に高まる下値リスク

これを割り込んで引けるようだと、2013年5月23日につけた1万4483円(1万4500円ゾーン)までの下落リスクが一気に高まるだろう(短期間で下落するわけではなく、大きな方向性を示していることに注意)。

今の水準から言えば、1万4500円はかなり下に感じられ極端なように見える。だが、実は直近高値からちょうど30%下の水準であり、過去の株価急落局面でも見られた下落率である。もちろん、下落の過程では、同日の高値1万5942円など意識される価格はいくつもある。

ちなみに、1万4500円というこの水準は、アベノミクス相場が始まる安値と直近高値のちょうど半値水準である。過去の株価動向で何度も重要な節目となっており、1万7714円を割り込んだ場合には否応なしに意識されることになるだろう。

いまの市場を取り巻く環境を精査したとしても、正しい投資判断を下すのはきわめて難しい。したがって、過去の値動きから、節目の価格を念頭に入れておくことはきわめて重要である。

もちろん、目先の材料にも目を配る必要がある。特に今週から月中に掛けては重要イベントが目白押しである。米雇用統計やG20、さらにはFOMC(米公開市場委員会)なども控えている。

しかし、金融市場に直接・間接的に影響を与えるであろうこれらのイベントの内容を精査しながら、材料ごとに判断・対応していては手遅れである。現在の市場の立ち位置を理解した上で、材料に振り回されないようにすることが肝要だ。

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