欧米勢も商業銀行へ回帰、三井住友の存在感は高まる--三井住友銀行頭取 國部毅

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三つ目が国内と海外の連携だ。昨年、中国現地法人の日本企業担当を国内の法人企業統括部の所管にし、4月から香港、台湾にも広げた。法人部門が、一つの会社の国内取引と中国、香港、台湾の取引とを見るので、情報連携やお客様への対応が格段にスピードアップしている。

国内貸し出しは減少しているが、海外の日系企業貸し出しは増加しており、合算して見る必要がある。海外店向けポスターには「Beyond our boundaries.」と書いた。「boundaries」に込めた意味は、国や業務、部など、一切の境を越えてサービスを提供していこうということ。企業はクロスボーダーで活動しており、内外の貸し出しの合算や連携の考え方を推進する。

証券は自力強化が基本 差別化はスピードが命

──銀証連携を強化するうえで、証券事業のそのもののあり方や、今後の提携拡大などのスタンスは。

日本企業が行う国内外の資金調達やクロスボーダーのM&Aなどにサービスを提供できる機能を、SMBC日興証券が持つことが基本。証券の買収時からホールセールにはいくつか強化が必要な分野があり、これまで海外拠点の立ち上げを行い、10月からは日本企業のグローバルオファリングに対応する体制も作り上げた。ただホールセールのマーケット環境がよくないため、時間的な猶予をもらっている部分もある。ゆっくりとは言わないが、着実にさらなる機能強化を進めていく。

──野村証券や大和証券など、独立系証券との関係は。

機能の追加という意味では、自分の力で強化していくのがメインストーリーだ。もし、われわれがやろうとしている企業のサービスが十分でない場合、どこかと組むという話はありうるかもしれない。だが、それは今のところ考えてはいない。

大和さんとは合弁事業を(2009年に)解消したが、今でも親しい証券会社だ。

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