妻の働く意欲を奪う!いつか来る「夫の転勤」 「夫婦セットで転勤」を認めるP&Gの真意

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(写真:RU / PIXTA)
昨年、『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)を発表し、ワーキングマザー界に鮮烈にデビューした中野円佳氏。連載11回目の今回は、女性のキャリア継続の大きな壁になっている自身の転勤問題について取り上げた前回に続き「伴侶が転勤になったら自分の仕事やキャリアはどうするか」問題について考えます
※前回記事:女性活用を阻む「日本的転勤」という大問題
※1回目記事:育休世代のカリスマが、会社を"降りた"ワケ

 

こんにちは、女性活用ジャーナリスト/研究者の中野円佳です。前回、転勤問題について取り上げました。一方、転勤問題には「配偶者の転勤」にどう対応するかという問題もあります。総合職同士のカップルだと、なんとなく常に頭にあるのが自分のみならず「配偶者の転勤があったらどうするのか」ではないでしょうか。

私自身、結婚後、人事異動の季節の度に、周囲に質問をされてきました。実際に自分や夫に転勤があったわけでもないのに、転勤があり得る仕事についているというだけで、1年に2回くらい問われ続けるわけです。「そうなったら、どうするの?」と。

20代前半ならあまり関係ない気もします。私は新聞社で仕事が楽しくて仕方ないときに、当時付き合っていた現在の夫に「転勤があったら、ついてきてほしいと言うつもりだった」と言われたことがあります。ふつうは「これってプロポーズ?」と喜ぶところかもしれませんが、私は「は?私のキャリアを何だと思ってるわけ?」と思いました

言った本人もあまり深い意味はなかったようですが、そのときの状況としては、ついていく=仕事を辞めるという選択肢しかなかったので私は当時、交際相手が転勤したら遠距離恋愛をするか、結果的に別れるかを選んでいたと思います。でも、特に女性は、それで婚期を逃すんじゃないかと懸念したり、妊娠出産を視野に入れ始めていたりする年齢だと、そうもいかなかったりします。

子供がすでにいる場合も、「家族が一緒に行く」という選択肢は格段に現実味を帯びてきます。夫には単身赴任をしてもらう、あるいは母子赴任をするというケースは多く、実体験としては「夫がいないほうが正直、楽」なんて話も聞きます。しかし、子供の年齢や行き先によっては子育て環境としても転勤先のほうが魅力的ということもあるでしょうし、家族と一緒に過ごしたいと考える人も多いでしょう。

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