【産業天気図・証券】欧州危機の拡大・長期化で証券市況が低迷、収益減少でリストラ加速

予想天気
11年10月~12年3月 12年4月~12年9月

証券業界の天気は、11年度後半(11月~12年3月)は雨、12年度前半(12年4月~9月)も不透明感が強く、曇りとなりそうだ。

欧州債務危機の拡大・長期化などによる投資家のリスク資産離れで株式市場の取引低迷が長引き、株委託手数料やトレーディング収益が落ち込んでいる。今年前半まで好調だった投資信託の販売も、海外市場の下落や円高によるパフォーマンスの悪化を受け、失速している。景気先行き不透明感が強いため、企業の公募増資や新規公開も減っており、引き受け手数料も大幅減少。今上期の業績は大手、準大手、中堅中小含め軒並み赤字に陥っている。市況悪化の最大原因である欧州債務危機、円高、内外景気の減速懸念は来年前半にかけて続く可能性が高く、証券業界の収益低迷も当面続く見通しだ。

業界最大手の野村ホールディングスの今期業績は大幅続落の見通し。国内個人向けの投信販売が減少に転じ、機関投資家の顧客取引の急減で国内外のトレーディング収益も不振が続く。日本企業の海外企業買収増加でM&A仲介は底堅いが、株引き受けは急減する。野村土地建物子会社化に伴う負ののれん代や、すかいらーく株売却益などの一時的な利益で何とか最終黒字が維持できたとしても、それらを除けば赤字の公算が大きい。大和証券グループ本社はやはり国内株の取引低落や強化中のアジア市場の低迷などが痛手で、今期営業損益と最終損益が赤字となる可能性が高い。

業績回復のカギは、投資家のリスク資産への回帰と企業のファイナンスニーズの回復だが、先行きは非常に不透明だ。

こうした環境下で、各社ともリストラによる損益分岐点の引き下げを迫られている。三菱UFJ証券ホールディングスやみずほ証券(いずれも非上場)は希望退職を実施。野村は欧州中心に大幅人員削減を決断し、大和は組織再編で管理部門の人員を減らし、営業部門へ異動している。リストラ効果は今下期以降少しずつ発現してくるが、本格的な寄与は来期以降。各社とも今は縮小均衡以外に打つ手がない状況だ。

(中村 稔=東洋経済オンライン)

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