《進化するノンアルコール飲料2/ワイン》試行錯誤で発見した日本茶で渋み

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「カツヌマグレープ」は単体で飲むのではなく、食事と合わせて飲むことで食べ物の味を引き立て、食中、食後の口の中をリフレッシュするという、ワインの代役を担うノンアルコール飲料として開発された。

「ワインの香り、味を知り尽くしているからこそ造ることができる。甘みが強い子ども向けのブドウジュースの製造法とは着眼点がまったく違う」と今村専務は強調する。

現在、全国の飲食店や量販店向けに、赤白合わせて毎月3万本を出荷しているが「まだ満足していない部分がある。可能なかぎりワインに近づけるために改良を続ける」(シャトー勝沼・高橋政隆取締役工場長)。

大手メーカーも参入を始めた。キリンホールディングス傘下で国内ワイン最大手のメルシャンからもノンアルコールワイン「メルシャンフリー スパークリング」が11月30日に発売されたばかりだ。開発に際しては、「キリンフリー」の開発チームに助言を受け、2年間以上かけて丁寧に造られた。

「最も重視したのは、ワインらしい香り成分をどう開発するか」だったと、マーケティングマネジャーの成瀬一義氏は振り返る。ブドウジュースとの差別化を図り、柑橘の香りを含む特殊なブドウ果汁を開発、ワイン同様に鼻先だけでなく、口中で変化した香りが鼻腔でも感じられるように工夫を凝らした。

予約受注での販売目標は1万ケース(1ケース360ミリリットル×12本で換算)を計画していたが、すでに約5倍の注文が入っており、「普通のワインの新商品ではありえない数字」(メルシャン広報部)だという。
(週刊東洋経済2011年12月10日号より)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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