美しいほど怖い!生き霊になった女の「怨念」 「うらめしや展」の幽霊画はここが恐ろしい

✎ 1〜 ✎ 43 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 46
拡大
縮小

こんな上品な幽霊なら、たまには出てきてほしい、と思う人もいるかもしれない。この幽霊は、「怪談牡丹燈籠」のお露と伝えられている。

恋い焦がれる幽霊の美しさ

《蚊帳の前の幽霊》鰭崎英朋 明治39(1906)年 絹本着色 全生庵

お露は根津清水谷に住む浪人の新三郎に恋焦がれて亡くなる。そして、やはり亡くなった女中のお米を伴い、カランコロンと下駄を鳴らして、夜な夜な新三郎のもとを訪れる。とりつかれた新三郎は日に日に痩せていき、ついには命を落としてしまう。1861年に落語家の三遊亭圓朝が作った怪談話だ。

「幽霊だけど、まったく怖さがない。徹底的にきれいに描いています。そもそもお露は恨みがあって出てくるのではなく、恋焦がれて出てくるタイプ。怖さより、絵として楽しめる作品になっています」

作者の鰭崎英朋は大の幽霊好きで、鏑木清方と肩を並べる人気の挿絵画家だった。

「誇張や芝居がかったことは排除し、できるだけ写生をして絵作りをする。やさしい雰囲気が彼の特長です」

次ページお岩さんはこんな姿だった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT