セミナーレポート

急務!どこまで対応すればよいのか? マイナンバーの収集から保管、セキュリティ対策の実際

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来年1月の社会保障・税に関する番号制度(マイナンバー制度)スタートを前に今年7月、東洋経済新報社主催フォーラム「マイナンバー制度始動 急務!どこまで対応すればよいのか?」が開かれた。今年10月からは12ケタの個人番号通知も始まり、セキュリティ面などで煩雑な対応を迫られる企業担当者らが、専門家の説明や先進企業事例に耳を傾けた。
●主催:東洋経済新報社 ●協賛:新日本有限責任監査法人、マカフィー

基調講演Ⅰ
導入迫るマイナンバー制度
─最新動向と利用拡大にむけて─

金子 郁容
慶應義塾大学
政策・メディア研究科教授

内閣官房マイナンバー等分科会座長も務める金子郁容氏は「マイナンバーの普及と利便性向上はニワトリと卵の関係」として、マイナンバーカードを活用した魅力的なサービスが出てくる必要性を示した。カードには12ケタの個人番号が記載され、ICチップの中には別に個人認証用の電子証明が格納される。これを使えば、自治体への転出入手続きと同時に、銀行、電力、電話会社に住所変更を届けられるワンストップサービスも可能だ。また、ネット通販などに活用すれば、現行のID・パスワード認証よりも安全性を高めることができる。また、マイナンバーのコアシステムは、同様の個人用番号を別に生成できるので、医療IDを生成すれば、ほかの個人情報と切り離して、医療情報を共有する仕組みを容易に構築でき、薬の重複処方などのムダ防止に役立つ。金子氏は「公的個人認証というシステム面に罰則を伴う制度面の方策を併せた、かなりセキュアな仕組みになる」と述べた。

テーマ講演Ⅰ
マイナンバー制度
実務上の課題と対応のポイント

梅澤 泉
新日本有限責任監査法人
アドバイザリー事業部
パートナー公認会計士

新日本有限責任監査法人の梅澤泉氏は、企業のマイナンバー制度への対応を四つのカテゴリーに分け、ポイントを整理した。第一に組織は、全社的プロジェクト体制をつくり、事務局が課題の整理や進捗管理を行い、情報管理規定類の見直し・新規策定も進める。第二に業務プロセスでは、本社と工場、正規と非正規社員で個人番号の集めやすさが異なることを踏まえ、取得方法を整理。人事部門、外部個人への支払いがある部門、個人番号が必要な書類作成業務を洗い出し、保管や廃棄のルールを定める。第三にシステムは、自社対応と外部委託する作業に分けて課題を整理のうえ、自社対応部分におけるシステム活用範囲をあらかじめ慎重に検討する。第四に情報管理では、番号を取り扱う事務、特定個人情報、事務取扱担当者の範囲を明確にする必要を指摘。「各企業は、利用拡大が予想されるマイナンバーの取り扱いルールを定め、今後の活用に向けた足固めをしていただきたい」と訴えた。

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