アダム・スミス『国富論』を読む 丸山徹著

アダム・スミス『国富論』を読む 丸山徹著

まれに見る現実が日本にあるにもかかわらず、なぜそれをとらえる経済学が生まれないのか。「20年デフレ」の渦中で日々を過ごし、いつまでも長期停滞を脱せない現実に遭遇すると、誰もがそう思わずにはいられないのではないか。

経済学の祖といわれるアダム・スミスの主著『国富論』は、実に18世紀後半の英国社会の文脈があればこそ書かれたものであって、普遍的な学問的欲求から執筆されたのではない--。この事実を本書で知れば、現代日本の経済学への物足りない気持ちがますます募ってくる。むしろ「見えざる手」や「自然価格」といったことよりも、スミスが当時の現実にどのように向き合っていたか、彼の考え方がどのように形づくられたのかが大きく興味を引く。

マネタリズムや人口動態論ではなく、『国富論』に凝縮された同時代論と同様に、現代の日本経済をとらえる新しい試みがあってほしいと願わせる書だ。

岩波セミナーブックス 2730円

  

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
あのころ銀行は<br>無茶苦茶だった

『住友銀行秘史』の著者で元・住銀取締役の國重惇史、元イトマン顧問弁護士の河合弘之、元長銀取締役の箭内昇。平成の金融バブルの最中に起きたイトマン事件の真相と教訓を語る。