破綻の林原買収に700億円、老舗商社・長瀬産業の大勝負

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それでも林原を買収する一番の目的は、新たな収益柱の育成だ。長瀬が扱う化学品商材は、電機や自動車業界への依存度が高く、こうした業界の景況に業績が左右されやすい。このため、景気影響を受けにくい食品用酵素や医薬といったバイオ事業の強化を急いでおり、林原買収は同事業拡大の大きなチャンス。化学品も将来的にバイオ由来商材の需要拡大が予想され、その対応のためにも研究開発の人材を増やしておきたい。

買収対象となる林原のバイオ事業の今年度業績見込みは、売上高260億円、営業利益53億円。買収後は手薄だった海外展開に力を入れ、アジアを中心にトレハロースなどの潜在需要を開拓し、10年間での投資回収を目指す。

「700億円という金額の正当性は、長瀬の事業として成長させられるかどうかで変わってくる。全社を挙げて、林原を含むバイオを将来の柱に育てたい」と長瀬洋社長。巨費を投じる買収の成否に、老舗商社の未来が懸かる。

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(渡辺清治 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年12月3日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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