日本撤退の英大手スーパー「テスコ」、店舗争奪戦がヤマ場? 買い手候補にはセブン、イオンにドンキの名も

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トライアルカンパニーは福岡に本社を持つディスカウントストア。北海道の同業、カウボーイを買収するなど、全国で急拡大している。閉鎖店舗への居抜き出店や、大型物流センターからトレーラーを使って食品などの物資を配送し、中国人中心のエンジニアにシステムを開発させるなど、コスト管理を徹底した運営がウリ。2000坪以上の超大型店からコンビニまで6業態を持ち、収益力や知名度でまだまだ見劣りのする首都圏・関東地域をテコ入れする起爆剤にしたいところだろう。

ドラッグストアのスギ薬局を傘下に持つスギホールディングスは東海地盤だが、近年は首都圏での出店を増やしている業界の風雲児。10年度末774店の店舗を、15年度末には1500店に倍増させる計画もある。雑貨比率が高いつるかめ店舗は、ドラッグストアへの転用も比較的容易とみられる。

この5社のなかから、早ければ12月にも候補が1社に絞られ、優先交渉に入る見込み。ただ、「一括売却を望むテスコの想定する売り値が高く、余剰人員などの追加リストラが避けられないことがわかってきたため、ここへ来て大手2社が及び腰になっており、2次入札が不調となる懸念が出てきた」(金融関係者)こともあり、事態はなお紆余曲折をたどる可能性もある。

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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