ゴルフ場の難度はセッティング次第

プロゴルファー/小林浩美

 紅葉が鮮やかな季節になってきた。赤、オレンジ、黄色に染まった山々に心がグッと引き込まれる。

さて、プロの試合で優勝スコアが20アンダー近いスコアになると、「あのゴルフ場は易しい」とか、これとは逆でオーバーパーになると、「あのゴルフ場は難しいに違いない」と一般的に思われている。しかし、ゴルフ場はセッティング次第で難しくも易しくもなるというのが私たちプロの認識だ。スコアだけで必ずしもそのゴルフ場の難度は決まらない。
 プロの試合でどのようにコースをセッティングするかは大きく分けて三つの要素がある。一つ目、季節によって芝の育成度合いが違うので、季節ごとにラフの長さやグリーンの硬さ、速さなどに変化をつける。たとえば、春先はラフが短くグリーンは硬くて速くなる。夏の終わりはこれとは逆で、ラフは長く勢いがあるがグリーンは暑さで弱るので柔らかくスピードは遅めになる。二つ目、そのゴルフ場が持っているホールごとの特徴を最大限に引き出す。たとえば、ティーグラウンドの場所、フェアウェーのライン出し(幅や形)、距離設定、また池や谷などを生かす工夫。三つ目、興行としてのゴルフ。ゴルフファンの方々が観て面白いと喜んでいただける内容であること。これら三つを組み合わせたうえで、プロのどの技術を引き出すのか、攻め方、体力、精神力も含め試合ごとのセッティングが決まる。

たとえば、今年の日本女子プロ選手権。プロのメジャートーナメントにふさわしいセッティングに最大限ご協力いただいた。普段はフェアウェーが広く、のびのびドライバーショットが打てる。ラフの長さやグリーンの速さ硬さが通常の状態で女子プロ選手権を仮に行ったら、優勝スコアは15アンダーを超えたかもしれない。これならバーディをいかに多く取るかという攻めるゴルフを要求するセッティングになる。ところが、日本一のプロを決めるメジャーということで、岡本綾子さんのアドバイスの下、フェアウェーは狭く絞り、ラフは10センチ以上。ホールごとに特徴を出すため、ティーグラウンド選びからピンの位置、18ホールの流れを考え選手の気持ちを持ち上げるよう、各ホールの長さ配分も見極め、選手の技術、精神力、体力、戦略を総合的に問うセッティングに仕上げた。結果、4日間終わってみればアンダーパーは4人。優勝した三塚優子選手ら首位を争う選手たちの試合展開は見応えのある濃い内容で、多くのゴルフファンの方々に喜んでいただけたはずだ。

このように何を目的としたセッティングかでゴルフ場の難度は変わる。プロの試合では、選手のゴルフの幅を広げるため難度の違いを織り交ぜたセッティングをしている。固定的な観念を取り払い、セッティングを大きく変えて理事長杯や月例などの競技を楽しむのはいかがでしょうか。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。
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