日経平均2万円割れ後の買い手が不在に 不安心理が増幅

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週初には「日経225オプションで、ヘッジファンドによる1万9250円台プットの大口買いの観測が聞かれた」(国内証券)との声もあり、市場の一部には不穏な空気も漂っていた。こうしたなか、下げ止まらない中国株を背景に世界景気の減速懸念が広がり、東京市場でもリスク回避姿勢が広がった。

三京証券マネージャーの藤井勝行氏は「上海株が7月9日の直近安値の3373ポイントを割り込むと、日経平均も安値を割り込む公算が大きい」と指摘。また「中国株が下げると中国経済との結びつきが強いドイツ株も売られる傾向にある。年初からドイツ株と日本株に対するロングポジションが正攻法だったが、その巻き戻しが出ているようだ」と話している。

個人の買いも不発

先物売りへの「打たれ弱さ」を露呈した日本株だが、伊藤忠<8001.T>や三井物産<8031.T>など、予想配当利回り銘柄の高い商社株は下げ渋る動きを見せた。水戸証券投資情報部長の須田恭通氏は「今回の下げにより、強気スタンスをとっていた投資家は追証が出る可能性もあるが、一部の個人は押し目の好機ととらえ、買いに向かう動きも見られた」と分析する。

ただ、日経平均が直近安値1万9115円20銭を付けた7月9日に見られたような、力強い指数の戻りは今回はなかった。また、個人投資家の売買が多い新興市場では、東証マザーズ指数<.MTHR>が年初来安値を更新。下落率は4.16%と日経平均の2.98%を大きく上回っている。「手の内が悪化した個人投資家も増えており、マインドはやや低下している」(国内証券)との見方もある。

相場の先行きに対しては、警戒感が根強い。パインブリッジ・インベストメンツ執行役員の前野達志氏は、中国経済の減速や安倍政権の支持率低下、米国利上げの観測など「悪材料が重なりセンチメントが急激に悪化している。若干は売られ過ぎの反動も予想されるが、それ以降に上値を追う展開は見込みにくい」と指摘する。

中期的には米国経済の拡大や、中国での経済政策効果などが想定されるとしながらも、「下値が固まるまでは買いにくい」との見方を示している。

 

(長田善行 編集:田巻一彦)

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