好業績に沸く総合商社、巨額投資へ前のめり

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最大手の三菱商事は、10年度からの3年間で過去最大となる2・5兆円もの投融資を計画。11月初旬には、4200億円を投じ、資源メジャーからチリ銅鉱山の権益の一部を取得。BHPビリトンと合弁で展開する豪州・原料炭(鉄鋼用石炭)生産事業でも、鉱区拡張などで4200億円の追加投資を決めた。

三井物産も今年度に過去最大規模の7000億円の投融資を計画。既存資源案件の拡張投資のほか、非資源でもブラジルの穀物事業会社やシンガポールの港湾運営会社などを買収し、すでに上期で3600億円の投資を実行。伊藤忠は10月、約1300億円を投じてコロンビアで燃料用石炭の権益を獲得した。

各社とも、足元の経済環境はむしろ投資の好機とみている。円高局面では海外資産を割安で買えるうえ、世界的に景気減速感が強まる中で、欧米企業から売却案件の持ち込みが増えているからだ。

丸紅の朝田照男社長によれば、資源権益獲得や企業買収などで競合関係にある欧米投資会社の体力が弱まり、「今は日本の商社同士のコンペティション(競争)」になっているという。各社とも投資意欲は満々。世界を舞台にした総合商社の投資競争は、さらに熱を帯びそうだ。

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(渡辺清治 =週刊東洋経済2011年11月26日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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