グリー、スマホゲームで味わう生みの苦しみ 急成長から急降下、そして上場来初の赤字

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しかし、「エンジニアがブラウザからネイティブへシフトするのは、水泳選手が陸上選手に転向するくらいの違いがある」(ゲーム会社幹部)。ディー・エヌ・エー(DeNA)など同業他社は、外注を積極的に活用することでネイティブシフトを図っている。一方、グリーは自社エンジニアによる内製にこだわり、社員教育を進めてきた。

成果を問われる年

そうした結果、ネイティブ事業は600人体制まで拡大。だが、肝心のヒットを生み出せていない。前期にリリースした6本の新作ネイティブゲームも振るわなかった。グリーの今年度上期(7月~12月)の売り上げは前年同期比26%減の365億円で、営業利益は同46%減の60億円になる見通し。

これについて、「下期も同じペースで下がるとは思っていない」(秋山仁取締役)と説明するものの、収益低下に歯止めがかかるかどうかは、ネイティブゲームのヒット次第である。

急成長を遂げた国内のスマホゲーム市場は、ダウンロード数の伸びが鈍化しており、その勢いに陰りが見られる。また、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの『パズル&ドラゴンズ』や、ミクシィの『モンスターストライク』など、ヒットゲームに人気がより集中する傾向も鮮明だ。今年末にはDeNAと提携した任天堂が初のスマホゲームを出してくる。

足元でグリーが開発中のゲームは15本と豊富。さらなる競争激化も予想される中、ヒットを輩出し、復活の糸口をつかめるのか。今年度は抜本的な組織の見直しを行った「成果」が問われる年になってくるだろう。

「週刊東洋経済」2015年8月29日号<24日発売>「核心リポート04」を転載)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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