「多角化」戦略を加速する富士フイルム、液晶フィルムや化粧品に資源投入

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薄型テレビに用いられる液晶パネルの保護フィルムも、写真フィルム技術を転用して開発した。現在、市場シェアの8割を支配する。同社はこの液晶フィルムの増産体制を着々と築く。熊本県の工場に新ラインを設置し、12年末には生産量を10年7月比35%増に拡大する計画。スマートフォンやタブレット端末向けへの拡販も狙う。

複合機も注力する事業の一つ。傘下の富士ゼロックスが、昨年末に新型のA4プリンタを投入。これを武器に、これまで手薄だった中国の中小企業開拓を急ぐ。

攻守両面の取り組みを加速する富士フイルムだが、取り巻く環境は厳しさを増す。中でも、直近の業績を大きく圧迫する要因となるのが、銀など資材の高騰だ。同社も手をこまぬいているわけではなく、製品値上げに踏み切ることで、240億円の材料高による減益要因のうち110億円を吸収する。

大規模なリストラを終え多角化でさらなる成長を描く態勢づくりは整った。目論見どおり利益の安定計上ができるか、経営手腕が試される。

富士フイルムホールディングスの業績予想、会社概要はこちら

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(本誌:伊藤崇浩 =オール投資2011年11月15日号)

※記事はオール投資執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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