広島カープは最高の「地方再生モデル」だった 「カープ女子」という言葉に隠された真実

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ということでカープの話を書きたいわけですが、経済コラムですし、この機会でもありますので今回のお題は「広島東洋カープに見る地方再生ビジネスのヒント」と致したく存じます。

なぜカープは最高の「地方再生モデル」なのか

カープに関しては、さまざまな経済学的考察及びビジネス上の分析が可能なのですが、地方再生にとって大変貴重かつ大きなヒントになりうる点がいくつかあろうかと思うのです。

なぜ、カープはこれほど広島に根付いているのか。そして1975年以来、12球団で唯一赤字になっていないという黒字経営をすることが可能なのか。そのあたりを真面目に考えてみましょう。

まず、カープは企業による親会社がなく、公開こそしていませんが完全な株式会社となっています。そして、オーナーである松田元氏(64)はもちろん、あのマツダ(旧東洋工業)の創業者一族(曽祖父が創業者の松田重次郎氏)でもあるわけですが、会社、つまりマツダそのものは全く関与せず、個人で株を保有しているので、マツダからは完全に独立した野球球団として経営されています。

つまり読売ジャイアンツなどと違って、親会社である企業からの支援(及び口出し)は一切ない。個人の方が株主ですから当然オーナーシップがあり、ファンと言えども所有者である、という方が多数おられるわけでして、このあたりの「当事者意識」というのが他球団とは全く異なります。

もちろん市民が全員株主であるわけではありませんが、勤め先の社長が株主で、年間指定席券をもらって見に行くこともありますし、取引先がそういう所もあるでしょう。そういう意味で広島のありとあらゆるところにオーナーシップの意識が根付いているというのが一番の強みです。

次ページ「横並び」と真逆の独自戦略こそ、カープの神髄
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