参議院は必要か、ねじれで国政の機能不全が常態化、抜本的改革を

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連邦国家や多民族国家のように、連邦加盟州(や国)や各民族代表などによって第二院が構成されている場合には存在意義はある。だが、連邦国家ではなく、衆参両院とも似たような選挙制度で議員が選ばれ、有権者も同じである日本の国政選挙では、参議院の存在意義は極めて小さいのではないだろうか。

一方、憲法改正手続きにおいて参議院の存在は重要だ。日本国憲法は、世界各国の憲法の中でも代表的な硬性憲法で、通常の法律と比べ、非常に厳格な改正手続きを要求している。この厳格性は守るべきだ。

参議院の抜本的改革は、参議院にとって自己否定的な意味を持つにもかかわらず、参議院でも3分の2以上の賛成が必要な憲法改正を伴う作業である。どんな改革になるにせよ、そもそも非常に難しいテーマなのだ。そのため、過渡的には参議院の議員を衆議院に吸収し、大人数の衆議院からなる一院制国会を作った後、議員定数削減をしていくような妥協策が必要かもしれない。

そこで一つの理念型として、参議院を事実上廃止し、衆議院で憲法改正の発議があった場合にのみ選挙を実施して招集し、現在、憲法に規定されている参議院の憲法改正手続きの権能のみを持った新第二院を提案したい。非常に大きくかつ困難なテーマだが、検討の必要性は迫っている。

(シニアライター:福永 宏 =週刊東洋経済2011年11月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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