参議院は必要か、ねじれで国政の機能不全が常態化、抜本的改革を

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こうした「非民選議員を含む参議院」というコンセプトは、当然GHQに拒否されるが、GHQ側の譲歩によって二院制自体は生き残った。衆議院と似たような選出方法に基づく参議院が生まれたわけである。

当初、参議院議員選挙に多くの旧貴族院議員が立候補して当選を果たしたため、松本の意図どおり急進主義への緩衝装置としての参議院の機能は一部残存することになった。

しかし、その後、参議院の政党化が進み、衆議院多数派の自民党が長期的・安定的に参議院でも過半数を占めるようになると、参議院は“衆議院のカーボンコピー”と揶揄されるようになる。シェイエスの言葉に従えば「意義がない」存在になったのである。しかし(維持コストの問題を除けば)、参議院は少なくとも「有害」な存在ではなかった。

参議院問題が顕在化し始めたのは、国会に「ねじれ」が頻繁に起こるようになってからだ。これまで起こった実例を振り返ってみよう。

(1)1989年参議院選挙で与党自民党が過半数を割る。90年2月に89年度補正予算案が参議院で否決。

(2)98年参議院選で与党自民党が過半数割れ。金融再生法案では、参議院で野党修正案を自民党が丸のみ。

(3)2007年参議院選挙で与党自民党が過半数割れし、民主党が参議院第一党に。多くの重要法案で衆議院と参議院が異なる議決。

(4)10年の参議院選挙で、与党民主党が過半数を失い現在に至る。

こうした国会の「ねじれ」でどんな問題が起こっているのだろうか。

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