東海道新幹線の"後継車両"はいつ現れるのか 「N700系」の改造完遂で気になる次の動き

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一方でN700系は、葛西敬之名誉会長が「新幹線の完成形に達している」と絶賛するほどの車両である。だとすると、登場が予想される新型車両は、N700系とまったく設計思想の異なる「1000系」といったものではないと考えられる。

たとえば、Superの頭文字であるSを使って「S700」、あるいは「N700S」といった、N700との連続性をアピールするものになるかもしれない。いずれにしても2017年ごろにはベールを脱ぐとことになりそうだ。

「X0編成」の登場は偶然か

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「X0編成」の車両は2009年にが時速330キロでの走行を達成した

改造工事完遂式が終わったその日の夜、JR浜松駅の新幹線下りホームにN700系が停車していた。行先表示が「試運転」となっており、すべての窓のブラインドが下ろされているので、普通の列車でないことは察しがつく。先頭車のフロンドガラスには「X0」と表示されていた。

X0編成はN700系の量産先行車。営業運転は行わず、さまざまな技術開発のための試験運行用に使われている。JR東海が2009年に「国際仕様の新幹線」として時速330キロ運転を行ったのもこの列車だ。

技術開発という性質上、営業運転が終わった深夜に運行されることもある。ある意味、ドクターイエローよりも遭遇するのが難しい車両である。

そんなX0編成が浜松工場でN700系の改造工事が完遂したその当日に、浜松駅に姿を見せたというのは、偶然にしてはでき過ぎだ。この日は将来の新型車両に搭載する技術の試験を行っていたのだろうか。その内容は謎のままだ。いずれにせよ、N700Aの後継車両のカギはX0編成が握っているに違いない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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