東芝、室町社長「続投」の新体制に付く疑問符 前期は赤字転落、見えない信頼回復

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新体制の評価は、従来は大学教授や外務省出身者で構成されていたことを考えると、「企業経営の経験者もいてバランスが取れている」(あるアナリスト)。ただし、社外取締役の顔ぶれはそろったものの、室町社長以外の3人の社内取締役は決まっていない。

室町社長の続投も、ベストの選択肢と言えるかどうか。7月21日に第三者委員会の報告書を受けて、東芝の歴代3社長と取締役6人が辞任、室町会長(当時)自身も辞任する決意を固めていた。が、「絶対に辞めないでくれ」と、東芝OBで元社長の西室泰三相談役(現・日本郵政社長)が引き留めた結果、急遽社長に任命されたという経緯がある。

社長を引き受けた理由について、室町社長本人は、「8人の取締役が退任という事態になった。副社長の中には、田中久雄前社長の後任となるべき人材もいたが、(結果的にそういう)人材を退任させる事態になった。私がやるべきだろうと決意を新たにした」と明かす。

一方、室町氏を選んだ理由について、伊丹社外取締役は、「この緊急事態に荒波を乗り切るには、経験豊かで全社的なマネジメント経験のある、室町さんの続投が不可欠であると判断した」と説明した。

「室町社長と伊丹社外取締役が残るのはおかしい」

現経営陣の中から唯一続投する、室町氏(右)と伊丹氏の2人

室町社長は不適切会計が行われていた、2008年6月~2012年5月まで副社長を、2014年6月からは会長を務めている。7月21日の会見では、「(第三者委の)報告書に名前の記載もないし、関与していないと考えている」(室町社長)と説明しているものの、続投には疑問符がつく。

冒頭にも記したとおり、ある東芝のOB幹部は「室町社長と伊丹社外取締役が残るのはおかしい。何も変わっていない」と手厳しい。

今回の決定に対し、理解を示す声もある。ある市場関係者は、「経営の継続性を考えると、過去を理解している人がある程度残る必要もある」との見方を示す。取締役の8人がいなくなり、9月末の臨時株主総会までの時間を考えると、取締役経験者を置くのが妥当と考えたのかもしれない。

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