創業者の新会社は「第2の大塚家具」なのか 株主総会に続いてビジネスでも激突へ

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この裁判をめぐっては、今年7月13日に勝久氏と久美子氏が法廷で初めて直接対決。久美子氏は「(勝久氏に)訴訟まで起こされるとは思ってもいなかった」「(勝久氏が)大塚家具の経営にいろいろと思うところがあり、経営にプレッシャーをかけたいのかなと思った」などと主張。一方、勝久氏は「私は今、無職だ」「なぜ私を(大塚家具から)追い出すようなまねをしたのか」など法廷で声を荒げていた。

ききょう企画は大塚家具の10%弱を握る第2位株主であり、委任状闘争に発展した今年3月の株主総会では、久美子氏にとって重要な“票田”となった。裁判の結果次第では、ききょう企画に譲渡された130万株の株式が勝久側に移る可能性も否定できないだけに、久美子氏にとって絶対に負けられない裁判といえるだろう。

足元の業績は回復途上

株主提案を発表した今年2月の会見。前列の左から大塚勝之氏、大塚勝久氏、 池田真吾氏、所芳正氏。この全員が、新会社「匠大塚」の役員に就いた(撮影:尾形文繁)

株主提案を否決し、久美子氏が経営権を握った今年春以降、大塚家具では入りやすい店舗への改装を積極的に推進。勝久氏が導入した会員制の見直しやロゴマークの刷新など、矢継ぎ早に従来の体制からの脱却を打ち出している。しかし、直近の中間決算(1月~6月)で、最終利益が半減するなど、業績のほうは回復途上だ。

そうした中で現れた勝久氏の「匠大塚」と株式売却の動き。法廷闘争のみならず、ビジネスでも父娘が本格的に激突することになるのか。取引先も今後の展開を固唾をのんで見守っている。   

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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