大荒れのコンテナ船業界、運賃暴落に打つ手なし

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前期好業績の思わぬ悪影響もある。前期にEU競争法に違反したのではないかとコンテナ船各社に(EU委員会の)査察が期初に入った。「それで、運賃が上げづらい状況になった」(青砥常務)。

前期は、EU委員会に疑われても仕方がないほどのV字回復だった。デンマークのAPモラー・マースク社を筆頭とするコンテナ船の主要20社は、運賃低迷で09年3月期に計2兆円弱の巨額赤字を計上。が、翌10年3月期は各社がコンテナ船運賃を一斉に値上げし、主要各社の業績は軒並み急回復した。日本郵船や商船三井が1000億円台、川崎汽船が600億円弱の営業利益を確保した。

川崎汽船は下期に減便し需給を緩和。「1月以降、若干の運賃回復を見込む」(吉田圭介専務)が、若干程度では焼け石に水。コンテナ船部門の下期はもともと不需要期。下期も部門赤字必至で、日本郵船、川崎汽船は通期黒字化を断念した。コンテナ船の比重の大きい川崎汽船は300億円の営業赤字を覚悟する。

3社とも欧州疑惑を否定する。だが、EU委員会からの圧力が強まれば、運賃低迷は長期化し、2期連続赤字の悪夢が来期に待ち受ける。

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(山田雄一郎 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2011年11月12日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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