赤字転落のエルピーダメモリ、迫る巨額返済の重圧

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 目下、エルピーダは25%の減産で需給引き締めに動くと同時に、微細化などによるコスト削減を進めている。

「うまくいけば来年4~6月期で黒字化できるかもしれない。が、エルピーダの経営以前にDRAMは業界として厳しい」(JPモルガン証券の和泉美治シニアアナリスト)。直近の7~9月期で黒字を確保したDRAMメーカーは、業界首位のサムスンだけ。2位の韓国ハイニックス以下は赤字という過当競争だ。

エルピーダが巨額の赤字になったのは、今回が初めてではない。リーマンショックが襲った09年3月期に約1800億円の赤字を計上。資金繰りに窮したため、経済産業省が産業活力再生特別措置法を適用。日本政策投資銀行の増資引き受けをはじめとする公的支援を行った。日本にDRAM企業を残すという大義名分の下、国の支援で急場を乗り切ったわけだ。

ところが、その後もDRAMメーカーの淘汰が進まず、価格の乱高下は収まらない。10年3月期と11年3月期こそ市況回復で黒字を確保したものの、昨年の夏からは再びDRAM不況に突入。四半期業績は10年10~12月期以降、赤字が続いている。

大手顧客に出資を要請

こうした中、エルピーダの経営をさらに難しくするのが、巨額の借入金返済だ。「下期を財務的にどう乗り切るかが焦点」(みずほ証券の寺澤聡子シニアクレジットアナリスト)。12年1~3月期に450億円の社債が償還期限を迎え、12年4月には産活法のスキームで得た借入金のうち約770億円の返済期限が来る。手元資金は1000億円の水準を維持しているが、それだけで賄い切れない。

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