明治大はなぜここまで急に評価を上げたのか 親子で考える「失敗しない大学の選び方」

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小林:結論からいうと、ちょっと違うと思います。というのも、明治大学以外も、この施策をどんどん導入したわけですから。むしろ中長期のブランドづくりがポイントだったと思います。明治大学ならではの世界観を、諸々の努力と、時間をかけて構築しているなと感じます。

常見:関東とそれ以外のエリアでの違いはありますか?

小林:これが明確に存在するのですよ。関西・東海は国公立志向が高いのです。

常見:そうなのですね。

小林:もともと、世の中全体で2010年以降は国公立志向が高まっていました。リーマンショックに、東日本大震災など経済的な不安がありましたからね。ただ、アベノミクスによる景気の浮揚感、東京オリンピック招致決定などの影響で、昨年くらいから関東・関西・東海すべてで私学志向が高まったのです。今年は関東ではまだ私学志向が高まっていますが、関西・東海などでは国公立志向が高まりました。消費税増税もありましたが、これは景況感の地域差だと私たちは見ています。

大学と学部がわかりづらい時代、何を学べるのか

規制緩和によって約700種類まで学部が増加することになりました

常見:この「進学ブランド力調査」ですが、必ずしも大学の偏差値と順位が比例しないところが興味深いですね。

小林:ありがとうございます。今回も、全国(関東・東海・関西)の約9000人の高校生にアンケートをとって、ランキングを作りました。この結果は高校生の声が直接反映されているといっても過言ではありません。

常見:昔はもっと大学の個性や役割がわかりやすかったと思います。なぜ大学のイメージが伝わりづらくなってしまったのでしょうか?

小林:理由はふたつあります。まずは進学率が上昇し、大学が増えたことです。1990年の大学進学率は24.6%でした。それが2009年には50%に超えました。受験者の受け皿となる大学も増加しましたよね。

常見:いまや、780もありますからね。私が学生だった1990年代前半は520校前後でした。

小林:競争相手が増えることによって、大学の発信力も相対的に弱まっているわけです。

常見:なるほど。

小林:ふたつ目の理由は大学増加と並行して起きた、学部・学科の増加です。最近は、ひと目見ただけでは、何を学べるかわからない学部名・学科名が増えましたよね。

常見:「マネジメント」「コミュニケーション」「グローバル」「イノベーション」といったカタカナ言葉が乱用されている印象です。

小林:1991年までは、学部は29種類しかありませんでしたが、それ以降は規制緩和によって、約700種類まで学部が増加することになりました。

常見:え、700種類もあるんですか。

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