マネーボール --日本にこそ求められる「経営改革」《宿輪純一のシネマ経済学》

1963年生まれの筆者と同い年のブラッド・ピットの秀作。筆者も最近、歳を感じることが多くなってきたが、彼もこの作品でアクション系から演技派への脱皮を図っているように感じられる。
 
 本作は、今年の東京国際映画祭のクロージング作品で、早くもアカデミー賞(作品賞・主演男優賞)の予想も出始めている。筆者は個人的にそうなると思う。
 
 彼は最近、来日したが、3月の東日本大震災発生以来、久々の超大物映画俳優の本格的な来日であり、何となくうれしい(東京国際映画祭のミラ・ジョヴォヴィッチの日本滞在3時間!には驚いた)。



 この作品はノンフィクションである。メジャーリーグの貧乏球団オークランド・アスレチックスを、常勝軍団につくり変えたGM(経営者)、ビリー・ビーン(ビリー・ジーンではない)の話である。ヤンキースの年俸の3分の1というから驚きだ。まさにこの連載にふさわしい経営改革の話といえる。

ビリー・ビーンが行ったことはこうである。彼は勝利を最終目標とした。そのためにいろいろと考え、データ分析に長けた人物の助けも受け「出塁率」を勝利へと導く中間目標とした。これが「マネーボール理論」である。これは今までの野球の常識とは違うものであったため、大変な軋轢を生む。しかし、長い苦悩の末に勝率は高まっていく……。
 
 実際のビリー・ビーンは、自分の球団の試合は見ない。見ると負けるというジンクスを信じているからである。このような弱い面も持った人物なので、苦悩も一般人のわれわれと同じように受け止め、映画を見ていてこちらが苦しくなる。

経営の改革とはこのようなものである。ジリ貧の組織はそのままではダメで、今までと違ったことの実行が、本当に大事である。逆にいえば、新しいことを受け入れなければならない。しかし、改革を行うと、本作品のように大変な軋轢が生じる。



 最近、経済産業省を中心に新しい産業強化の政策がとられている。大変よいことだと思う。財政政策も、金融政策も限界まで来た今、日本を支える産業の強化こそ本道である。
 
 また、新しいことをするときに失敗を恐れて慎重になりすぎるのはいけない。成功確率を一定とするならば、数多く手数があることが大事なのである。

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