米国で中毒者続出「ソウルサイクル」って何? ファンを熱狂させるレッスンの「中身」

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もともと大して参入障壁が高いビジネスではない。高級フィットネスクラブのなかには同様のバイクエクササイズのクラスを追加料金なしで提供するところも出てきている。ソウルサイクルの高い利益率も競争激化によって低下していくはずだ、というのは経済学の初歩の初歩だ。

もちろん、ソウルサイクルの熱烈なファンであれば、そこらのフィットネスクラブで受けられるバイクエクササイズのレッスンとはわけが違うと言うはずだ。ムード満点の照明に、バイクマシンを調整してくれる何人ものスタッフ、エクササイズの動きとぴったりリズムが合った音楽。そしてエクササイズは自己陶冶への道だと説く、カリスマ性あふれるインストラクターたち——。

持続可能な本物の「強み」はあるか

だがそうしたソウルサイクルならではの特徴を真似したり、料金をもっと安く設定したり、きちんと利益を出しながらシェアを奪うことは、どれほど大変だと言えるだろうか?

IPOでソウルサイクル株を買うかも知れない投資家たちにとって重要なのは、同社には持続可能な本物の「強み」があるのかという点だ。今後も高い料金を払い続けてもらえるような、よそにはない要素が果たしてあるのだろうか。

私は経営大学院の教授たちと、ソウルサイクルの熱烈なファンに話を聞いた。そして、同社の強みは本物かも知れないという結論にたどり着いた。

ハーバード大学経営大学院のジャン・リブキン教授(経営戦略)は、ビジネスにおける持続可能な強みには3つのタイプがあると語る。

ひとつは、誰にも手を出すことができない独自の「商売のタネ」があるということだ。かつてのダイヤモンド大手デ・ビアスによるダイヤモンド市場の独占や、ヒット医薬品の特許、コカコーラの秘密のレシピといったものがこれに当たる。

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