人民元引き下げで見えた新潮流 リスクオフでも円売り

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 8月14日、リスクオフ局面での円売りという新しい流れが、外為市場で起き始めている。都内で2010年8月撮影(2015年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 14日 ロイター] - リスクオフ局面での円売りという新しい流れが、外為市場で起き始めている。中国の人民元基準値引き下げにより、市場に警戒感が走る中、ドル/円<JPY=EBS>は一時上昇。「安全資産」の円を売るという、これまでとは正反対の動きがみられた。

同じアジア通貨の急落という今回の特殊事情によるものか、各国中銀の金融政策の変化から通貨ポジションの傾きが従来と異なってきているためなのか、市場の関心を集めている。

円安に戸惑い

「一体、何が起こってるんだ」──。中国人民銀行が人民元の基準値の引き下げに動いた11日、ある外国金融機関のディーリングルームには、顧客からの問い合わせが相次いだ。

従来ならば、リスクオフムードの高まりを受け、安全資産としての円が選好される場面だったが、人民銀の発表があった11日午前10時15分ごろに124.60円付近だったドル/円は、発表直後から強含みとなり、海外時間には125円台前半にまで上昇した。

「リスクオフなのにドル/円を買っていていいのか」(国内証券)との声も、市場では聞かれた。

だが、翌12日も基準値が引き下げられると、125円ちょうど付近で横ばい推移となっていたドル/円は、大方の相場観に反し一段高となり、一時125.28円まで強含んだ。

人民元安に伴うドル高が、米早期利上げを後ずれさせるとの観測がその後強まったことでドル/円は下落し始めたが、これまでのセオリーと違う動きに、市場には戸惑いが広がった。

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