医療3団体がTPP参加への懸念を表明。「このまま進むなら反対のための国民運動展開も」

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 また、今年3月に公表された米国通商代表部の外国貿易障壁報告書では、「サービス分野における障壁」の1つに医療分野が挙げられている。そこでは、外国籍を含む営利企業による病院経営への参入が禁止されていることが問題視されている。
 
 同9月に同代表部は「医薬品アクセス強化に向けてのTPPにおける目標」と題した文書も作成。TPP交渉に入った場合、日本の薬価制度も協議の対象にされる可能性が高いと見られる。

これまで政府は、「公的医療保険制度はTPP協定交渉の議論の対象になっていない」(小宮山洋子厚生労働相)などと説明してきたが、薬価制度が公的医療保険制度の一部を構成していることは言うまでもない。

11月1日の衆議院本会議では野田佳彦首相自身が「交渉参加に向けた協議を進めることとなった場合、交渉参加国から個別の2国間懸案事項への対応を求める可能性は完全には否定できない」(共産党の志位和夫衆議院議員の質問への答弁)と認めている。
 
 野田首相は続けて「2国間の懸案については2国間の協議で対応することになると思う」と述べているが、医療団体が危惧するように、米国の要求が「蟻の一穴」になって国民皆保険制度を揺るがす可能性は皆無とは言えない。
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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