狙われる台湾の小型株市場、私腹を肥やす投資信託関係者

拡大
縮小


3億台湾ドル(7・6億円)を超す高級マンション暮らし

この乱高下に対し、行政院金融監督管理委員会が直ちに調査に乗り出し、焦点は買いの主役だった投資信託に絞られた。同委員会は複数のファンドマネジャーを呼んで事情を聴取。その中には著名なファンドマネジャーが何人もいたという。

一説によると、盈正豫順がまだ興櫃売買市場に上場していた当時、ファンドマネジャーが同社株を購入、櫃台売買市場に鞍替えするのを待って、1株500台湾ドル以上でファンドに買い取らせたという。また、別の説によると、何人ものファンドマネジャーが同社株を上場売り出し価格の1株185台湾ドルで買い、櫃台売買市場への上場後に株価吊り上げに協力。高値になると直ちに手放し、利益を確保したというのだ。

ファンドマネジャーが動かしている資金は、そもそも投資家のもの。それを道具に自分の懐を肥やすことは、投資信託の信用を損なうばかりか、背任行為に当たる。台湾の現行法令では、ファンドマネジャーが職務を利用して株価操作に協力し、投資家の権益を損なった場合、背任罪で最高懲役5年に処せられる。

昨年10月29日、証券櫃台売買中心は、まず同社株の上場を担当した富邦証券に対し「評価報告と関連資料に問題がある」として厳しい処分を申し渡した。続いて行政院金融監督管理委員会が今年3月、投資信託会社の徳盛安聯、ING安泰などを、「営業収入予測、購入価格の算出根拠を、投資分析報告の中で十分に説明していない」として処分した。

今後は核心部分に入っていくと思われる。行政院金融監督管理委員会が最終的にどのような処分を下すのか、投資信託業界の関係者は不安な日々を過ごしているという。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT