不振ゼネコンを救う、お手盛りの震災復旧予算

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県当局は、契約額がすべて県下に投下された場合、約3282億円の経済波及効果と2万人の雇用創出効果があると推計する。ただ、こうした試算根拠は、6年前の宮城県産業連関表に基づく試算で根拠が薄い。

足元で収益上振れも3年後には仕事なく

県や市当局は、2年半後の14年3月末までに、がれき処理を是が非でも完了させる意気込みだ。が、それ以降の跡地利用に関する案は未定で、経済合理性から進展は容易ではない。

ゼネコン幹部は、「震災関連の公共工事を応札する場合、赤字は出ない前提で、採算は当然意識する」と口をそろえる。今回のように地元に手厚いお手盛り予算が相次ぐと、ゼネコンの収益は予想以上に潤う。それでも、ある中堅ゼネコンの社長はため息をつく。「足元はこれまでの厳しい状況に一息つけるが、復旧工事が一巡した3年後に全国で仕事が取れない状態であれば最悪シナリオだ」。業界では需要先食いの懸念も頭をもたげ始めている。

(古庄英一 =週刊東洋経済2011年11月5日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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