テレビ局が夏に社屋イベントを開催するワケ 5年後の東京オリンピック開催を視野に

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東京オリンピックを見据え、日本テレビ放送網も今年から夏イベントの運営体制を変えた。昨年まで、事業局のイベント事業部と子会社の日テレイベンツが中心となって運営する、いわばイベントのスペシャリストたちによる開催だったが、今年は違う。アニメ『アンパンマン』プロデューサー、映画『バケモノの子』プロデューサー、通販ポシュレのプロデューサーなど、イベントの素人が加わった。

「驚いたのは企画力」と、日テレイベンツ所属の赤松哲成氏はいう。たとえば今年の目玉企画『「ガキの使いやあらへんで!」絶対に笑ってはいけない汐留バスツアー』は、アンパンマンのプロデューサーであり事業局コンテンツ事業部の中谷敏夫氏が考案した。

日テレの年越しの特別番組として定着している「ガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけない○○シリーズ」を忠実に再現した汐留バスツアーは、日テレがある汐留をスタートして、竹芝のインターコンチネンタル東京ベイを折り返し地点に、40分程度走るバス乗車中にプロの芸人が次々と登場し、参加客の目の前で漫才やコントなどを行う。笑うと罰として、番組同様、「アウト!」の声と共に迷彩柄の服に黒いマスク姿の“お仕置き人”が車外から登場し、番組で使われているものと同じクッション性のある棒で参加客の尻をたたくといった流れだ。

「東京都屋外広告物条例や道路交通法、港区交通条例など、クリアしなければならない問題が山ほどあるということを知らなかったから、やろうと言えた。実際、イベントに通じていたら、バスを走らせるなんてまず無理だと思って企画案としてすら上がらないだろう」(中谷プロデューサー)。

食に特化のTBS

TBSテレビの夏イベントは、『デリシャカス』という名の通り、食に特化している。今年は都市型アウトドアパークを運営するワイルドマジックと組み、本格的な炭火でのBBQを展開中だ。

TBS敷地内に2008年にオープンした、赤坂サカスを会場とする夏イベントとして開始。東京都の土地を利用しているフジテレビと、森ビルのエリアを一部利用しているテレ朝とは違い、自社の不動産、赤坂サカスの活用という面が強い。TBS本社前には限られたスペースしかなく、隣接するオフィスビルへの配慮もあり、75デシベル以上の大きな音は出せない。フジテレビのように年々大規模になっていくアトラクションや装置を設置することは難しく、3年前から飲食に特化することで他局との差別化を図り、赤坂駅直結の地の利も生かせると考えた。

加えて、「今年は番組とのタイアップを強化した」(赤坂サカス推進部の杉﨑友成担当部長)。朝の情報番組『あさチャン!』内のショートアニメとゲームコーナーで登場するサンリオのキャラクター「ぐでたま」とマルちゃん焼そばとのコラボ企画として発売している、目玉焼きをのせた番組オリジナルの焼そばは、1日345食を販売し売り切れとなった日もあるほどの人気となっている。また、『マツコの知らない世界』など人気番組の合成背景が用意され、来場者が番組の出演者になりきった画像を作ることができる『なりきり写真館』という展示など、楽しませながら番組宣伝になる仕掛けを増強している。

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