大手と提携連発!東大出身ベンチャーの実力 NTT、トヨタ、パナソニック、ファナック

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PFNは中心メンバーが東大在学中に立ち上げたベンチャー企業、プリファード・インフラストラクチャー(PFI)からスピンオフして誕生した。PFIは、自然言語処理などを手がける会社で、ニュースサイトの関連記事を自動抽出するエンジン「Hotate」や、全文検索エンジン「Sedue」を開発している。ただ、テキスト情報など、機械が出力する情報は膨大。そこで、IoT(モノのインターネット)に焦点を当て、リアルタイム機械学習技術のビジネス活用を目的にPFNの設立に至った。

会社の設立当初から大手企業との提携が相次いだ。昨年10月、NTTと資本・業務提携し、約2億円の第三者割当増資を実施(NTTの保有比率は10%未満)。NTTの研究所とはPFIが2011年頃からリアルタイムビッグデータ処理基盤技術「Jubatus」(ユバタス)の共同開発を進めてきた間柄。業務提携を通じてIoT分野での「次世代ビックデータ技術」の確立を目指すという。

ファナックとトントン拍子で合意

トヨタ自動車とは自動車運転領域で共同研究契約を締結。共同研究を通して、機械学習、ディープラーニングの応用の可能性を探る。さらに今年6月10日には、パナソニックのハードウェア技術とPFNの機械学習・ディープラーニング技術の融合をめざすとして、提携を発表した。パナソニックは「ディープ学習分野や車載分野など、BtoBソリューション分野で最大限活用していきたい」としており、自動車分野への応用や、デジタルAV機器の高度化などに期待を寄せる。

ファナックの稲葉善治社長。PFNの技術に関心を示し、技術開発での協業を決断

同じ6月には、工作機械のNC(数値制御)装置で世界シェアトップを誇るファナックと、機械学習や深層学習を活かした技術開発の協業で基本合意。ファナックは「インダストリー4.0の適用範囲を包含するモノづくりの現場で、これまでにない高度な自動化の実現を目指す。協業は業務全般で行う予定」としている。両者が話し合いの場を持ったところ、PFNの技術に対し、ファナックの稲葉善治社長をはじめ経営陣らが興味を示し、トントン拍子で協業の合意に至ったという。

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