(第20回)垂直統合の巨大企業を生んだ20世紀型技術

(第20回)垂直統合の巨大企業を生んだ20世紀型技術

日本の経済体制は囲い込みとすみ分けの「蛸壺体制」であると、前回述べた。

蛸壺体制は「垂直統合」という事業方式(あるいは生産方式)と密接にかかわっている。これは、さまざまな工程や事業を一つの企業、あるいは系列企業との企業グループの中で行う方式だ。前回述べた「蛸壺」の中では、垂直統合方式による経済活動が行われている。垂直統合は、個々の企業が専門分野に特化し、市場を通じて取引を行う「水平分業」と対比される。

ところで、垂直統合は、日本企業に独自の特性というわけではない。古い技術の特性である。

実際、これはアメリカにおいて顕著に進展した。19世紀末から20世紀にかけて、さまざまな分野で垂直統合的巨大企業が現れた。

その先駆は大陸横断鉄道だった。大規模な投資が必要となるため、従来のような小規模な企業では対応できなかったのである。次に電話が登場した。電話の発明者アレクサンダー・グラハム・ベルが創立したベル電話会社は、全国的な通信網を施設して、巨大企業AT&Tに発展した。電話機や交換機の製造部門であるウェスタン・エレクトリックも合わせ、AT&Tは史上最大の企業になった。

さらに、巨大な石油会社が登場し、探査、採掘、精製、流通のすべての分野にわたる事業を一企業の中で行った。

製造業においても、大規模工場が必要になった。まず鉄鋼業で、鉱山、運輸まで含む事業を統合する大企業が登場し、大規模な設備を用いた生産を行った。また、ヘンリー・フォードが流れ作業による自動車の大量生産方式を確立し、自動車メーカーは垂直統合の権化のような存在になった。アメリカの自動車メーカーにおける垂直統合の度合いは極めて高い。

後で述べるように1970年代ごろ以降のアメリカでは垂直統合的大企業は姿を消したが、石油会社と自動車会社は残った。

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