「下剋上受験」から親の寄り添う姿勢を学ぼう

父と娘が最難関校を目指す過程で得たもの

両親が「中卒」でも、難関校に合格できる!(写真 : KAORU / PIXTA)

当コラムには、「勉強しない子を勉強させる方法」についての御問い合わせが、引きも切りません。それに対して私は、正面切ってお答えするのを、避けてきました。子供の個性や能力の差、家庭環境や親子関係などで方法は異なってくるのは当然で、万人共通のきれい事を並べるだけでは、かえって混乱を招くだけと考えました。

そんな中、最近の育児に関する主要書籍を読み進めるうちに、『下剋上受験』(桜井信一著)を読む機会が、ありました。ちまたにあふれる「お受験成功記」にはない、感動物語で、非常に読み応えのあるものです。

アマゾンのレビューでは本書がプロのライターの方によるフィクションが多く混ざっているとも評されていますが、その真偽にかかわらず、読み物として面白い教訓にあふれています。今回は人気育児書籍レビューの第一弾として、取り上げさせていただければと思います。

代々、中卒家系のスパイラルを断ち切る戦い

本書によれば桜井氏夫婦は中卒です(本書の初めには、中卒で活躍しておられる方々や中卒という言葉に嫌悪感を感じる方々には、著者がイメージする「よくいる中卒」を指しているだけなので、しゃれの一つとして許して欲しいと断っておられます。私自身も中卒という言葉を、桜井氏が使われる文脈で触れることをご容赦ください)。

結婚して15年。つらいことばかりの人生でした。生活のために労働し、その仕事にやりがいはありません。人生を楽しむために生きているのではなく、周りはうらやましいことだらけです。ある時は地獄の日々に思えた時期もありました。

桜井氏にとって一つだけ良いことがあったとすれば、それは娘・佳織さんを授かったこと。愛おしくて仕方がないけれど、「この娘は運がない。大きなお屋敷に住む父親がこの娘の父親に立候補してくれたら、娘の幸せのために自分は辞退する覚悟もあるのに、娘は自分の家に産まれた」。このお礼に、なんと応えればいいのだろう?と数年間考えます。

出した結論が、佳織さんの最終学歴を中卒にして、また中卒で終わる子供を育てる「負のスパイラル」を、自分の代で断ち切ることでした。河川は大がかりな流路変更工事で、強引に方向を変えることがあります。氏はそれを家系でやろうと計画したのです。エリートが一級河川扱いなら、自分たちは排水路扱いされている。「こんなにかわいい娘が、排水路のために利用されることを、黙って見ているわけにはいかない」

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