職場では「答えなくていい質問」を見極めよ ムダな労力を使わず、部下を鼓舞するコツ

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なぜなら、感覚的にお分かりの方もいると思いますが、「どう思う?」という形式の質問の裏には、質問をする人自身の「私はこう思う。それを分かって欲しい」というメッセージが隠れているからです。

ここで大切なのは、そのことをじっくりと受け止める姿勢です。つまり質問に対して、あなたの考えや感想を「答える」のではなく、相手の話に耳を傾け、気持ちを受け止めることが必要なのです。

「課長に嫌われているかもしれません。どう思いますか?」という質問の裏では、「私ばっかりなぜ?」という理不尽な思いを伝えたいのかもしれません。もしくは、「こんなひどいことを言われて傷ついた」という悲しさや憤りを話したいのかもしれません。いずれにせよ、相手の気持ちを「聴く」(日常的なやり取りとは分け、相手の気持ちに寄り添い受け止める)ことが、最初の対応としてはふさわしいのです。

質問に質問で返すのも一手

そしてこの手の質問には、基本的な質問で返します。簡単に言えば、「そうなのね。あなたはどう思うの?」という応え方です。その人が話したい気持ちがあれば、自分の思いを話し始めてくれるでしょう。

心のうちを話し始めたら、次にあなたのすべきことは、気持ちを受け止める聴き方をすること。それでさらに質問されることもあるでしょう。大体は自分の思いに同意してほしいための質問なので、その時も、あなたの考えや感想を述べることは最小限にとどめることがポイントです。

また、「私はこの仕事が向かないと思います。このまま続けた方がよいか、会社を辞めるべきか迷っています」といった質問もたまにあるケースですが、これもやはり、あなたが考えた答えを返すことにほとんど意味がありません。なぜなら、相手の中では、無意識であっても、答えがすでに決まっているからです。

たとえば、「あなたは時間をかけて伸びるタイプだと思うから、もう少し頑張ってみるといいよ」と答えたとします。ところが、相手がすでに会社を辞めることを決意していた場合は、「でも、もう3年も働いています。これ以上無理です」と反論されるのが落ちですね。

逆に、自分なりに頑張っているのに結果が出ない、真剣に悩んでいる自分をアピールしたい、という場合も、やはり「もうちょっと頑張ってみよう」という答えにはがっかりするかもしれません。

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