私立大学635法人財務ランキング【本当に強い大学2011年版】--減益が半数、赤字法人4割に、運用難の苦しみさらに深まる

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 一方、2年前のリーマンショック時に多額の損失を被った資産運用は、今度は欧州債務危機が深刻化し、身動きが取れなくなっている。

大学はデリバティブを組み込んだ仕組債で運用していることが多く、現在はその含み損に苦しんでいる。ピーク時約180億円の仕組債を保有していたとみられる慶応大は「仕組債は学校法人の資産運用になじまない。市況を見ながらウエートを下げていき、(保有)ゼロに持っていきたい」(清水常任理事)という。

関西大は11年3月末の保有有価証券211億円のうち、仕組債が137億円、約65%を占める。10年度決算では12・5億円の評価損も計上。「仕組債(の売買)は凍結。他大学も果敢に運用にトライする中、4月から債券投資を再開し、東電債は一番に買おうと思っていたところで3月11日がやってきた」(池内啓三専務理事)。東日本大震災で電力債の発行が止まり、外債も円債との金利差が小さくなり、投資商品としての魅力を失いつつある。既存債券の満期償還資金は「ひたすら預金に積み上がっている状態」(同大)。投資できる有価証券が払底し、多くの大学が運用難に苦しんでいる。



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