働きたいママが「ドラフト会議」で訴えたこと 多彩な経歴を持つママたちが登場

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審査員を務めた総合人材サービス業の部長は「こうしてひとつの場所に集まって、直接声を聞くということは、やはり伝わるものがあります。見に来た人たちみんな、刺激を受けたのではないでしょうか。私も勉強になりました」と話す。

また、保険コンサルティング業の支店長は、「女性を積極的に採用したいと考え、いろんな形で採用活動をしていますが、働きたい女性が何を求めているのか、なかなかつかめない。今日は、そういう方たちの声を聞いてみたいという思いもありました。やはり期待した通り、素晴らしい女性ばかりです。コンタクトをとってみたい方もいます」と、新たな人材採用に意欲を見せた。

ファイナリストが得たものとは?

この日スピーチを行った6人は、20数人の応募者の中から選ばれたファイナリストである。だが、誤解を恐れずにいえば、決して特別な存在ではない。子育てしながらでも一歩踏み出したいと願う1人の女性であり、それを実行に移しただけなのだ。

ファイナリストたちは、イベント開催前に3回にわたる「ブラッシュアップ講座」を受けた。その第1回講座でのこと。自分の強みを見つけて自らキャッチフレーズをつけ、発表するという課題が出された。すると、思わず「難しい……」と漏らす人も。強みを発表するはずが、「人前で話すのが苦手なんです」と言ってしまう。また、ある全国的なママ団体の地区の世話役をしている女性は、「自分は関わり始めたばかりでたいしたことをしていないから」と、それを経歴としてスピーチで言っていいのか迷っていた。

イベント終了後の記念撮影。出場者はみな満足そうな笑顔を浮かべていた

主張することに慣れておらず、つい謙遜してしまう。それは、日本人の特性でもあるだろう。あるいは、母として妻として、知らず知らずのうちにサポート役に回ることが多いのも、理由の1つかもしれない。そんな彼女たちであったが、本番では自分の強みをしっかり述べていた。

ファイナリストの1人、楠田久恵さんはもうすぐ2才になる男の子のママだ。実は彼女は、1回目の講座の後、イベント出場を辞退することを考えたという。周囲から勧められて応募したものの、「普通の主婦である自分が出場していいのかなと考えてしまって……」。それでも、思いとどまり、本番では、鍼灸マッサージ師の資格と事務職で叩きこまれたパソコンスキル、さらに子育てで培われた臨機応変な対応力とポジティブさをアピールした。

「最初は、自分の資格がどのように仕事に結びつくのか手探り状態でしたが、アドバイスを受ける中で、やりたいことや得意なことが次第に見えてきていました。息子との時間を大切にしたい気持ちに変わりはないけれど、働いて対価を得ること、頑張るママの姿を子どもに見せることも大事だと感じています。もう一度企業で働くのもアリだなと思うようになりました」

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