井川一族が牛耳る 大王製紙の末路

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子会社7社で最も売上高の多いダイオーペーパーコンバーティング社でも売上高は260億円程度。資本金は5社が3000万円でしかない。大王製紙はグループ全体で4101億円の連結売上高に対し、それを上回る4453億円もの有利子負債を抱える“借金漬け会社”(10年度)。売上高を超える借金会社は東証1部の製造業では数えるほどしかない。子会社のどこから100億円超もの現金が出てきたのかも疑問だ。

知っていたのか知らなかったのか

前出の井川家一族4名は、個人株主としての持ち株比率は計3%に満たない。が、大王製紙の大株主に顔を出す大王商工とエリエール総業の2社を含めると状況は異なる。両社は一族の持ち株会社とみられ、有価証券報告書によれば筆頭株主の大王商工は「原材料の仕入・販売会社」で8・3%所有、社長は井川高雄氏。また5位株主のエリエール総業は「福利厚生施設の運営会社」で3・5%を保有、社長は高博氏だ。

実は7社の登記簿によると、不透明な融資が行われた10年度には大王製紙本体の元副社長や常務など4名の役員が、子会社の取締役や監査役を兼ねていたこともわかった。

「貸し付けを把握していた役員もいたのでは?」。9月16日の記者会見でこう聞かれた佐光社長は、「まさしくそこが問題だ。関係会社に非常勤で入っている役員は抑止力にならなければならないが、ガバナンスが利かなかった」と認めた。が、社内事情に詳しい関係者はむしろ同情的だ。「彼らは何も知らされていなかったと思う。知っていてもどうこうできる会社ではない」。

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