仮設住宅の住環境格差、寒さ対策を怠った宮城県、実施ゼロ%が並ぶ理由

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仮設住宅の住環境格差、寒さ対策を怠った宮城県、実施ゼロ%が並ぶ理由

冬の足音が近づく中、東日本大震災の被災地で、寒さ対策の遅れが深刻な問題になっている。

取り組みの立ち遅れが特に著しいのが宮城県だ。9月30日に厚生労働省が開催した仮設住宅の居住環境に関するプロジェクトチーム(PT)会合で、平野達男復興対策担当相が宮城県東京事務所長を前にこう苦言を呈した。

「仮設住宅の整備はそもそも県の事業だ。きちんと実情を把握して主体的に対応してもらわないと困る。村井嘉浩知事にも私から直接言う」

平野氏が宮城県を名指しで批判したのには理由があった。厚労省の調査で、仮設住宅の住環境改善の取り組みに関してほとんど手つかずであることが判明したためだ。

厚労省は30日のPT会合で、岩手、宮城、福島の3県を対象としたアンケート結果を公表。仮設住宅を設置している50市町村すべてから仮設住宅の住環境整備に関する回答を得た。その中で「雨、風よけのための風除室の設置」「断熱材追加」「窓の二重ガラス化」などの寒さ対策について、宮城県がほとんど何もしてこなかったことが明らかになった。

風除室の設置については、福島県の実施率(実施見込みを含む)が82・4%、岩手県で28・9%に達しているのに対して、宮城県は1・7%。断熱材追加でも岩手県28・6%、福島県7・3%に対して、宮城県は0%。二重ガラス化でも岩手県42・8%、福島県11・5%に対して宮城県は0%だった。

身体障害者や高齢者が必要とする手すりやスロープの追加設置についても、岩手県35・7%、福島県50・9%に対して宮城県ではわずか4・4%にとどまった。

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