ロシア鉄道は日本の何を狙っているのか 「プーチンの右腕」が明かした目的の一端

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ロシア鉄道の高速列車「サプサン」。モスクワ発着の2路線を最高時速250キロメートルで結んでいる

ウラジーミル・ヤクーニン氏。この名前にピンときた人は、なかなかのロシア通だろう。広大な国土全域の貨物と旅客鉄道を一手に運営するロシア鉄道の社長であり、プーチン大統領の側近中の側近といわれる人物だ。2008年にはプーチン氏の後継候補と目されたこともある。

そのヤクーニン氏が来日し、7月6日に都内で記者会見を行った。同氏は、世界の鉄道会社によって組織される国際機関・国際鉄道連合(UIC)の議長を務めている。UICとJR東日本の共催で7月7~10日に東京都内で開かれた「世界高速鉄道会議」に出席するために来日したのだ。

政治的な質問が相次いだ記者会見

ロシア鉄道の社長を務めるヤクーニン氏

日ロ関係は、昨年3月のウクライナ問題以降、ギクシャクしている。昨年秋に予定されていたプーチン大統領の訪日も延期されたまま。日ロ両国の関係者が膠着状態の打開に動いているものの、決定打を欠く状況が続いている。

そこに降って湧いたプーチン側近の来日である。「ロシア鉄道社長の記者会見」という触れ込みだったが、報道陣からの質問の多くは、鉄道会社のトップに対するというよりも、“プーチンの代理人”に対して発せられた。

もっとも、政治的な質問に対してヤクーニン氏がきちんと答えたのは、プーチン大統領訪日の可能性についてくらい。それも「年内か来年かはわからないが、必ず実現すると思う」という程度の形式的なものにすぎなかった。一方で、鉄道に関する質問に対しては饒舌だった。

ロシア鉄道が現在進めている2大プロジェクトは、首都モスクワを中心とした高速鉄道網の構築と、ウラル以東の鉄道網の近代化である。

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