結婚しても妊娠できない!晩婚さんの苦悩 39歳女医の「婚活」と「妊活」

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完全にのろけ話である。付き合うと同時に婚約をした2人は、家庭生活を築くために動き出した。最大の課題は博之さんの仕事である。社労士として独立して稼ぐことは無理だと判断し、真由さんの両親が経営する病院の事務員になることを提案した。もともと欠員を埋める募集をしていたので一石二鳥である。

婿養子化をいとわない夫

男性としては、妻の父親が経営する会社への就職は「婿養子」とほぼ同義だ。社労士の知識が生かせない職場ではないが、大きな転身となる。適性と覚悟がなければ務まるものではない。

「『結婚したら君のファミリーとガッツリ関わりたいと思っていたので嬉しい』と答えてくれました。両親も彼を気に入ってくれて、病院に来てもらうことにも大賛成。ただし、『あちらのご両親には先に結婚の話をしなさい。うちに入ってもらうことが結婚の前提じゃないのだから』と父親からアドバイスされました。

彼のご両親に会ったら、結婚をすごく喜んでくれたのですが、『うちの息子で本当にいいの? 生活能力がないわよ』と言われたので、病院の事務員として働いてもらうことを説明して、納得していただきました。お義母さんは優しくて素晴らしい人で、(前彼の母親と比較して)姑なのにこんなにいい人なの!と感動しています」

就職によって博之さんも自信がつき、毎日生き生きと働いている。結婚は真由さんが36歳のとき。2人が出会ってからちょうど1年後だった。真由さんは「変にがんばる必要がなく、一緒にいて楽しくて幸せだと感じられる相手」との生活を満喫している。35年以上にわたる人生経験が、博之さんというベストパートナーを見つけることにつながったのだと筆者は思う。

しかし、晩婚は良いことばかりではない。子どもが欲しい場合は、男女ともに「できにくくなっている」事実に直面するのだ。子ども好きであることから小児科医になった真由さんは、情熱を捧げてきた仕事を無期限で休止し、今は不妊治療に専念している。

「先生好き!と言ってくれて、退院後も年賀状をやりとりできて、私に憧れて医者になった子もいます。医者冥利に尽きますね。でも、私を慕ってくれる子も母親が顔を見せると、『あっ、ママ~!』と行ってしまう。当たり前のことですけど、それが悲しくて……。いちばん欲しいものが目の前にいて、自分のものにならないのは辛いです。(子どもたちが)好きだからこそ仕事から離れたかった。不妊治療が本格化してからは、レントゲンでの被ばくや針刺しなどでの感染を避ける必要もありました」

次ページトントン拍子に……
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