中国は冬季五輪でもネット規制をやめない 過去の経緯で読み解く「本音と建て前」

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中国国内の大イベントなら中国人が集まるだけだからいい。彼らはgoogleの代わりに類似サービスである百度を使い、LINEの代わりに微信(WeChat)を使い、twitterの代わりに微博(Weibo)を使い、YouTubeの代わりに優酷(Youku)など様々なサイトを利用する。「外国サイトの代わりに中国サイトを利用する」と明確な意識を持っているインターネットユーザーは古いユーザーくらいで、多くの人は中国のサイトしか見たことがなくなっている。

あまつさえ、中国政府サイドの一部の人々は、YouTubeやFacebookなどのサイトに対して、中国に都合の悪い情報を流すという印象を持っていることから、これらのサイトを「西方敵対勢力」と呼ぶ始末だ。

透けて見える本音

今年の3月25日、北京冬季五輪招致委員会の副秘書長の王恵氏は、「もし北京が2022年冬季オリンピックに招致に成功したら、外国の旅行客に開放されたインターネットアクセス提供をしよう(如果北京成功申方2022年冬季奥会,外国遊客将擁有開放的互聯網訪問)」「2022年の冬季オリンピックは2008年の北京オリンピックよりもより開放されたインターネットとなる(2022年冬奥会将比2008年北京夏季奥運会更開放)」と発言している。

ただ氏は「一部の人は常にFacebookやtwitterを使っているようだが、私の周囲で好きで使っている人はいない(一些人経常会提到Facebook和Twitter,但我周囲的人們根本不喜歓使用)」「私たちには微博や微信がある。中国の6億5000万のインターネットユーザーは自由にこれらツールを使い、情報を得ている。Facebookとtwitterを使わせたところで、私は使わない。私は微博や微信が好きだ(我們擁有微博和微信,中国6.5億網民可以自由使用這些工具来交換和接収信息。如果イ尓譲我使用Facebook和Twitter,我是不会使用的,我喜歓使用微博和微信)」と話している。

その言葉について素直に解釈していいかというと、筆者ははなはだ疑問に思う。Googleが当局からの圧力や嫌がらせに抗して中国から撤退した時も、外交部の姜瑜氏は「中国のインターネットは開放的だ」と発言していて、また姜瑜氏の後継者となる外交部の洪磊氏も繰り返すように「中国のインターネットは開放的だ。インターネットユーザーは自由を享受している」と言っている。

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