USJが乗り出す沖縄パークに秘められた魅力 大阪とはまったく別物、投資家の視線も熱い

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「“国策”というキーワードに引かれる投資家が多い」と指摘するのはフィスコの小林大純アナリスト。マイナンバーやインバウンド、サイバーセキュリティなど、投資家の注目を集めるテーマのほとんどは、国が旗振り役を担う。2014年度に外国人客が8割増となったUSJは、まさにインバウンドのコア銘柄である。

さらに「普天間基地移設問題と“セット”で報じられることの多い新テーマパークで、国策的イメージが一段と強まっている」(小林アナリスト)。大株主がゴールドマン・サックス系の投資ファンドのため、追加の売り出しなどで上場後に株価が押し下げられる要素はあるが、注目度の高いIPOとの見方が大勢だ。

沖縄の外国人観光客は増加中

観光地としての沖縄は目下活況だ。2014年度は過去最高の716万人(前年度比60万人増)が訪問。円安で外国人が急増し、中でも中国人観光客には、沖縄で1泊以上すれば有効期間3年の間、何度でも出入国できる数次ビザが発給される。那覇空港では2020年の使用開始をメドに、第2滑走路の工事も進んでいる。

海洋博公園は日本随一の水族館「沖縄美(ちゅ)ら海水族館」を擁する。USJの新事業という触れ込みもあり、完成すれば順調なスタートを切れそうだ。

ただインフラ面などで課題も残る。「(那覇空港からの)高速道路は現状でも混雑ぎみ」(本部町観光協会)。同地は那覇空港から車で1時間半から2時間ほど。新テーマパークで来場者が殺到すれば、渋滞は深刻さを増す。

それでも「町にも回遊してもらえる工夫をしてほしい。ほかのテーマパークのように周囲を囲われてしまうと厳しい」(同協会)といった地元の要請は強い。株式市場や地元沖縄県のUSJに対する期待は高まる一方だ。

「週刊東洋経済」2015年8月8-15日号<3日発売>「核心リポート02」を転載)

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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