欧州投資家の不動産投資は、特定マーケットに絞った投資になる--米不動産サービス大手・ジョーンズ ラング ラサールのアジア太平洋地域の調査責任者に聞く

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インドなど、限られた国を除き、この地域のほとんどの国で政策金利の引き上げがほとんど終わりのところまで来ている。ハードランディングではなく、プロアクティブに、ソフトランディングを促すような措置をとることができると思う。

--中国に関してはどうか。

よくソフトランディング(な調整過程を経るのか)、ハードランディングか議論されるが、中国政府もとることのできる政策措置を持っている。景気が過熱すれば、銀行の準備高を高めたり、金利を上げたり、銀行貸し出しに制限を加えることで、住宅セクターが過熱するのを防いできた。いったん景気が減速し始めれば、中国政府はまったく逆の措置をとることができる。

--東京のオフィス賃料は回復ぶりが他の都市と比べて遅いように見える。

いろんな要素がある。アジア太平洋の多くの都市では、オフィス需要が非常に堅調だ。中国では毎年1000万人もの人が地方から都市へ流入している。以前農業に従事していた人が、サービス業に就く数が増えている。必然的にオフィス需要が増える。この強い構造的な要素が需要を下支えしている。

それに比べ、日本の場合はかなり厳しい経済状況が続いていて、経済成長率が極めて低い。そういう状況の中では、オーナーが賃料を引き上げるのはなかなか難しい。

--中国の不動産市場が急激に調整されることはありうるのか?

引き続き賃料は上昇を続けると考えている。すでに上海では賃料の伸び率が少し鈍化してきている。しかし、北京は引き続き強い賃料の伸びが見られる。四半期ごとに10%の賃料の伸びだ。北京では空室率が大きく下がり、8%水準にまで下がっている。オーナーの側では、アグレッシブに賃料の引き上げ要求ができる状況が続いている。

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