欧米企業に広がる「中国事業見直し」の動き 投資削減や生産ライン縮小も

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 7月31日、中国経済の減速を受け、現地事業に厳しい目を向けている欧米企業の多くが、投資やコストの削減、生産ライン縮小のほか、増加する不良債権の対処を迫られている。北京で6月撮影(2015年 ロイター/Jason Lee)

[ロンドン 31日 ロイター] - 中国経済の減速を受け、現地事業に厳しい目を向けている欧米企業の多くが、投資やコストの削減、生産ライン縮小のほか、増加する不良債権の対処を迫られている。

2000年から10年にわたり2ケタ成長を続けた中国経済には多くの欧米企業が重点的に投資してきた。だが、ここ数年、その勢いは急速に鈍り、同国での需要を減退させているほか、中国企業の財務健全性への疑問が生じている。

最近の中国株急落で、中国経済があと数年で過去のような力強い成長を取り戻すとの期待は大きくしぼんだ。

オランダの総合電機大手フィリップス<PHG.AS>のフランス・ファン・ホーテン最高経営責任者(CEO)は27日、第2・四半期決算発表後の電話会議で「中国事業は2ケタの伸びを記録する素晴らしい業績が5年続いたが、徐々に伸び悩んでいる」と指摘。「今後は中国の成長に関してかなり控えめの見通しが必要になる。現実的になるということだ」と述べた。

中国経済の規模を踏まえると、欧米企業幹部の現地での通常の事業継続が難しいとする発言は、中国からの撤退を示唆しているわけではない。

シェア拡大より黒字確保

スイスのエンジニアリング大手ABB<ABBN.VX>のウルリッヒ・シュピースホーファーCEOは「中長期的には中国経済の回復を楽観視している」と語る。ABBは慎重なコスト管理と割高とされる同社製品の価値を顧客に説明することに努めている。

米自動車大手フォード・モーター<F.N>は中国市場の縮小に減産で対応している。

このような欧米メーカーの対応を受け、欧米を中心とするサプライヤーにも影響が広がっている。仏自動車部品メーカー、ヴァレオ<VLOF.PA>は中国の自動車工場からの需要減少により、成長を見込んだ事業計画を見直さざるを得なくなったと明らかにした。

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