新しい世界、新しい常識を創ることが、リーダーシップにおける基本的な振る舞い方--原田泳幸・日本マクドナルドホールディングスCEO(上)

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 外食産業は、ピープルビジネスです。人がいて店舗があって、そこにメニューがあり初めて商売ができるのです。それから2003年まで7年連続で既存店マイナスという厳しい試練の時代がありました。

その後、04年から今日現在まで、今年を含めて8年連続のプラスに転じています。私は04年2月に入社しましたので、回復期の最初のスタートポイントからかかわってきました。まず、回復期に何から始めたのか、お話ししたいと思います。

すべてのステークホルダーの価値を維持するためには、単に回復するだけではなく、さらなる継続的成長を実現していくことが基本です。ある年は10%の成長、ある年はマイナスということでは許されないのです。数%ずつ確実に上がっていくことが、最も堅実な経営効率です。よって先を見据えた構造改革を行いました。

世の中で言われている構造改革には大きく2つの種類があります。1つ目は危機に直面して、仕方なく自ら痛みの伴う変化を行うもの。これが日本ではリストラという1つの表現で言われる構造改革です。「投資なき構造改革」で、すなわちコストダウン、人材削減を行い守りの回復をしていきます。

2つ目の構造改革は、私どもがとったスタイルで「投資が伴う構造改革」。順調なときに痛みが伴う変化を図っていきます。つまり、危機に直面した構造改革ではなく、危機を予見した構造改革という表現もできるでしょう。

私が04年に就任した際、最初に社員に伝えた言葉があります。それは「経営の基本は、不振なときほど基本に立ち返る」ということです。基本なくして新しいことに投資しても、まったく効果を生みません。

特に順調なときに基本を忘れたり、厳しいときに基本を忘れたりすることは、人間の習性です。厳しい状況に直面した会社が、考えなければいけない基本を忘れて、いわゆるリストラで目の前のリカバリーを図ることに終始し、世の中から消えていった例は歴史的に多数あるのです。

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